あまりに狭く、間取りに合わせた住まいに生活を慣らされた結果、何が自分の住まいにとって大切なのかはっきりせず、ただ所有の喜びを手に入れるだけという、住まいを商品価値対象としてしか扱わない現状に、大きな不幸があるのです。商品価値のみを基準に考えられた住まいでは、住まいの設備や機能が優先されます。自然条件から身を守り、外敵の侵入を防ぎ、限りなく便利で快適な住まいか、よい住まいとして求められます。しかし機能だけが充実すれば、よい住まいの条件が整うかというと、そうではありません。例えば、団欒は住まいの機能によって生まれるわけではありません。「子ども部屋弊害論」や「子ども部屋廃止論」は、機能としての子ども部屋ではなく、部屋の位置や広さを含め形状、家族との距離感、スキンシップの取りにくさなどを問題にしているのです。家族の団欒を強く望みながら、実際に追い求めているのは、住まいの機能性というのでは、ボタンの掛け違いと言う他ありません。「人間が環境を作り、環境が人間を作る」という言葉がありますが、住まいの機能とは必要十分条件の中の必要条件の1つでしかありません。誰しも機能以外に、大切な何かを住まいに求めている。その大切な何かが見えにくくなっているところに、住まいの混乱があるのです。「住まいが人間を作る」という点にこそ、住まいの本質があることを認識すべきでしょう。
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